アッピアノス、重訳版『内乱史』第3巻

アッピアノス(著)
重訳版『内乱史』第3巻
――オクタウィウスの策謀とアントニウスの復讐――


サイズ:A5/80頁
配布価格:1000円(コミックマーケット101)/1100円+送料370円(BOOTH)
配布手段:コミックマーケット101にて配布。BOOTHでの通販(発送は2023年1月から)。
ローマ帝政期の歴史家アッピアノスが著した『ローマ史』の中の、紀元前133年のグラックス兄弟の改革からアウグストゥスによる帝政樹立までのいわゆる「内乱の1世紀」の出来事を記録した『内乱史』の英訳(ホレイス・ホワイト訳)からの重訳です。
今回訳出した第3巻ではカエサルが殺された紀元前44年から翌紀元前43年にかけてのローマ及び当方での出来事が記述されています。カエサルの遺言で彼の養子に指名されたオクタウィウス(一般にはオクタウィアヌスだが、本書ではオクタウィウスと呼ばれる。ご存じの通り後の初代ローマ皇帝アウグストゥス)の登場、カエサル党の力を殺ごうとする元老院、カエサル殺害への復讐に燃えるアントニウス、彼らの対立に乗じて勢力拡大を目論むオクタウィウスの三つ巴の政争、カエサル暗殺者の一人デキムス・ブルートゥスを包囲したアントニウスをオクタウィウスと元老院の軍が攻めたムティナの合戦とデキムスの死、弱冠19歳のオクタウィウスの執政官就任といったイタリアでの出来事、その一方で東方に向かったマルクス・ブルートゥスとカッシウスが東方の軍団を手中に収めて力を蓄える過程が記述されています。ちなみに本邦初訳です。
オクタウィウスに関する史料は彼のネームバリューとは裏腹に意外と少なく、日本語で読めるものに関してはなおさらです。さらにオクタウィウスが主要プレイヤーとして参加したカエサル死後の内乱について日本語で読めるある程度まとまった情報のある本はさらに少なく、本書は青年期のアウグストゥスと内乱での彼の戦いについての詳細を知ることができる貴重な史料です。
アウグストゥスやローマ史に興味がある方はもちろんのこと、ローマ史に限らず歴史好きの方も興味深く読める本となっております。
また、例によって例の如く検索や保存に便利な本文のpdfファイルをおまけとしてお付けします(会場、通販いずれも)。
試し読みはこちら(pdfファイルが別窓で開きます)(目次と訳文についての覚え書き、本文の第1章)。


・目次
訳文についての覚え書き
『内乱史』第3巻
第1章
カエサル葬儀後の都/アントニウスが偽マリウスを処刑する/アントニウスが元老院をたばかる/アントニウスがカエサルの法令を改竄する/ブルートゥスとカッシウスが都を離れる/ドラベッラがシリア総督に、アントニウスがマケドニア総督に任命される
第2章
アポッロニアの若者オクタウィウス/オクタウィウスがイタリアに到来する/カエサルの兵がオクタウィウスを喜んで歓迎する/オクタウィウスがローマへと向かう/オクタウィウスがカエサルの報復を決意する/オクタウィウスがアントニウスのもとを訪ね、談話を読む/アントニウスの返答
第3章
アントニウスとオクタウィウスの不和/カエサルの地所をめぐる訴訟/オクタウィウスの人気の増大/ドラベッラがシリアに進む/アントニウスがマケドニアの軍の指揮権を手にしようと画策する/ドラベッラがトレボニウスを殺す
第4章
アントニウスがマケドニアの軍をイタリアへと移す/アントニウスとオクタウィウスの対立の激化/軍団副官たちが彼らの間を取り持つ/アントニウスがオクタウィウスの助けを得て人々からガリア・キサルピナを手に入れる
第5章
アントニウスが再びオクタウィウスを圧迫する/軍団副官たちが再度間を取り持つ/アントニウスの軍団副官たちへの返答
第6章
オクタウィウスがアントニウス暗殺を試み、オクタウィウスがこれを否定する/オクタウィウスがカラティアとカシリヌムで兵を得る/護民官カヌティウスがアントニウスに対抗してオクタウィウスに味方し、オクタウィウスがアントニウスと戦うつもりだと宣言する/カエサルの古参兵がアントニウスと戦うことを拒否する
第7章
アントニウスの兵の抗命とアントニウスによる処罰/オクタウィウスがアントニウス軍の不和を煽る/アントニウスの軍団のうち二つがオクタウィウスに寝返る/アントニウスがガリア・キサルピナへと出発する/オクタウィウスが元老院に軍務 を申し出て彼らがこれを受ける/オクタウィウスの軍団の動き
第8章
アントニウスがデキムス・ブルートゥスにガリア・キサルピナ撤退を命じ、ムティナに退いたデキムスをアントニウスが包囲する/アントニウスを公敵と宣言するようキケロが訴え、護民官サルウィウスがアントニウスを支持してこれに介入する/元老院での議論/キケロの演説/ピソのアントニウス擁護演説/元老院がアントニウスにムティナ包囲の取り止めを命じる/アントニウスの返答/元老院がアントニウスを公敵と宣言し、マケドニアがブルートゥスに、シリアがカッシウスに与えられることを議決する
第9章
オクタウィウスが元老院の裁定を案じる/オクタウィウス、ヒルティウス、そしてパンサがデキムス救出のために進撃する/ローマでのキケロの活動/アントニウスと執政官パンサの戦い/パンサが負傷し、彼の兵が野営地に退却する/ヒルティウスが救援にやってきてアントニウスを破る
第10章
オクタウィウスとヒルティウスによるムティナでのアントニウス撃破、ヒルティウスの死/アントニウスがアルプス方面に逃げる/デキムスがオクタウィウスとの会見を求める/ローマでのアントニウスに対する祝勝/執政官パンサの死
第11章
カッシウスの挙兵とシリアの情勢/ブルートゥスがマケドニアでガイウス・アントニウスを捕らえる/オクタウィウスがアントニウスに和解を持ちかける/オクタウィウスがレピドゥスとアシニウス・ポッリオと接触する/オクタウィウスが執政 官職を求め、キケロに同僚になるよう持ちかける
第12章
アントニウスがレピドゥスの傍らに野営する/彼らが軍を合体させ、ウェンティディウスがアントニウスに合流する/ローマでの驚き/オクタウィウスと元老院の関係が段々と冷める/オクタウィウスが執政官職を要求すべく元老院に兵を送り込 み、それから軍を連れてローマへと進軍する
第13章
都での不安、元老院での告発の応酬/動揺する会議/元老院が抗戦を決意する/オクタウィウスが都の門の前に到着し、新手の軍団がオクタウィウスに寝返る/キケロが都を出立する/オクタウィウスがペディウスを同僚とする執政官に選出さ れ、カエサルによるオクタウィウスの養子縁組が人々によって承認される
第14章
カエサルの殺害者に対する告発と裁判/元老院がアントニウスとレピドゥスに対する宣言を撤回する/デキムス・ブルートゥスの逃避行/デキムス・ブルートゥスが捕えられ殺される

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